地域の年中行事抜粋







中 伊 豆 町 誌 よ り


地 域 の 年 中 行 事、 抜 粋


昔から伝統行事は数多くあるが、
それそぞれ意味をもち

明治以後もずっとお行なわれ、終戦まで続いてきた。

戦後、人心、生活の変化によって、
自然にその跡を絶ったものも多いが、

それらも含め現在も続けられている本町共通の年中行事を、
一月から順をおって〔都合により抜粋〕述べてみる事にする。







一月、元旦〔年始〕


除夜の鐘が鳴り終わると、それぞれ鎮守社へ初詣に出かける。



年賀の挨拶に、特別世話になった人や親戚回りをする。



又、区の年始会を行うところもある。







三月、〔九月〕、彼岸会


三月と九月、すなわち春秋の二回、

中日を中心に前後三日、計七日間を言う。

「暑さ寒さも彼岸まで」と古くからいわれているが、季節の大きな節めであり、

農業等の行事も彼岸会や八十八夜を中心に仕事の計画がなされていた。

一般の家庭では、一家中でしきびや香華、線香を持って墓参りに行く。

以前は、彼岸の「入りぼたもち」、「中日強飯」、「明けまんじゅう」を

、それぞれ作って先祖に供え、

残りを家中で食べるならわしがあったが、

現在行っている家庭は少ない。







花祭り(四月八日)


仏教行事で釈迦の誕生日を祝う祭りが一般化したものである。


この日はどこの寺でも、色とりどりの季節の花で飾った


「花御堂」を設け、これに誕生仏の像を安置し、


参詣人は竹の小柄杓で仏像に甘茶を注ぐ。


参拝の後甘茶を頂いて帰る。


現在では、寺の都合でこの日に行わないところもある。







八月

お盆(盂蘭盆)


当地方のお盆は、八月一日〜三日までである。


大正三年頃までは、八月十三日〜十五日の月遅れ盆のようであったが、

養蚕のナツゴがちょうど月遅れの盆の時期に最盛期を迎えるところから、

大正の中ころから現在の日に変わったのだろうといわれている。


「けっこうなお盆で・・・」とか「おだやかなお盆で・・・」などの

挨拶がかわされるように、新しい仏のある新盆の家では適用しないが、

一般の家では和やかに盆行事を祝っている(吉事盆)

盆賀と書いたものを先祖に供える事もある。


それぞれの家の祖霊をお迎えして供養するとともに、

一家の安泰と秋の豊作のご加護をお願いするのである。


盆に先立ち、盆道作りが行われたり、菩提寺のけ境内、

墓地の清掃が行われ祖霊迎えの準備をする。







盆棚(精霊棚)づくり


この作り方は、まず床の間に仏菩薩の掛け軸を掲げ、


その前に何段かの棚を組みたてて据える。


その上にウチシキ(大きい布)をかけて一番上の段に位牌を安置する。


その下の段に浄水、お花等を飾りたて、


更に下の段に団子、菓子、果物などを供える。


この棚の周りには青い笹のついた女竹二本を立てて上部に青竹を渡し、

これに里芋やほうずき、枝豆など飾りつるす。


棚の一番下の段には、マコモ(チガヤを組んだもの)を敷き、

その上に香炉、線香、ローソク等を置き、

キュウリやナスで作った盆馬、盆牛を供える。


盆馬は精霊様にはやく来て頂く為に、

盆牛は盆が終わり、精霊送りする際に名残を惜しんで、

なるべくゆっくり帰ってもらう為のものだと言う。


また、一説にはキュウリの盆馬は精霊様の乗り物で、

ナスの盆牛は荷物を運ぶものという。


また、青竹の二本柱にはシキビ、ヤマユリなど飾りつける。


各家によって、盆棚の様式は異なるにしても、

このようにしていよいよ、お盆を迎えるのである。


このような習俗が一般に定着したのは

江戸時代の寺請け制度以降といわれる。







餓鬼精霊(無縁仏)


精霊棚(先祖の霊祭りをする棚)の前、


あるいは脇に一段下げて里芋の葉などに供え物を載せて


餓鬼精霊(無縁仏)をまつる。







新 棚



新盆の家で作る精霊棚のこと。


家の軒先、表庭などに設ける。


青竹を組んで四本柱の上に棚を作り、


青い葉(杉葉、桧葉)で飾ったり、マコモで三方を囲う。


大きさは約一尺四寸、高さ五尺ぐらいのものである。


その棚の上に浄水、供物など供える。






迎 え 火



今は少なくなったが七月三十一日の夕刻、


祖霊を迎えるための迎え火を焚く。


新しい仏さまのある家では


新しい提灯(灯籠)を軒先につるしてお精霊さん(祖霊)を迎える。


迎え火のアカシ(松明)を各家で門口や庭先で焚く風情は趣のあるものである。







墓 参 と 棚 経


墓参と菩提寺の僧侶の棚経


(盆棚の前で読経供養すること)





七月三十一日から八月一日午後までには大体終わる。






八月二日(お盆の中日)


この日は精霊さんが東京の神田に買い物に行くといい、

弁当とお金を持たせるのだという。

この弁当は、アズキ飯を炊いて一寸五分位のおにぎりを作ったものである。

これを六つか七つ皿に載せ、一個に一本ずつ箸をさして精霊棚に供える。


また、昼には平たい団子を六つか七つ皿に並べ、上にうどんをゆでたものを載せる。

そして、それを精霊棚に供える。

これは精霊さんが買った物を運ぶ、セナカアテ(背中あて)ショイナワ(背負縄)だという。

夜にはスシやボタモチをあげたりする。






精 霊 送 り 


八月三日朝早くお茶と団子をあげ、そのあと盆棚をかたづけ、

いっさいの供え物をマコモで包んで紐でしばり、

大川の淵や箸に持って行き川に流す。

流した精霊が見えなくなるまで見送る。

その際その場所には団子、線香、菓子等を供えるのである。

しかし、現在は衛生上の見地から流す事は禁止されている。

夕方には送り火を、迎え火と同じ場所で焚いてお盆行事を終わる。






ボンガマ(関野地区)


お盆の最終日に屋外にかまどを作り、

子供たちが川を干して魚をとり、

これを副食として子供仲間で一緒に食事したり、

遊んだりした風習が戦前まで行われた。

ボンガマと称するもので、他所では女子がとりしきっていたようだが、

当地区では男の子の遊びとして行われていた記録が残っている。


中 略


十二月

大祓(おおはらい)


十二月二十五日(地区によっては二十九日、三十一日)
は神社、寺院ではそれぞれ総代や役員が出て、
境内、社内のなどを清掃し、






以下省略






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